サンダーランド大学
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留学体験談

野生生物画のプロになりたいという夢をかなえるためにサンダーランド大学へ留学した神戸宇孝さん。サンダーランド大学在学中の2002年には英国野生生物芸術家協会の Bursary Award へ入賞し、その協会の40周年記念展で日本人初出品を果たし、翌年の2003年には英国の野鳥雑誌BirdwatchでのBird Illustration Competition Artist of the Yearに選ばれるなど、留学を通して大きな成果をあげました。そんな彼にサンダーランド大学留学体験の魅力と、時には問題を乗り越えて成長した充実の留学生活について語っていただきます。

 NEWS
神戸さんの写真展が東京で開催! (2012年8月)
神戸さんが、新アート・センターのセレモニーに参加しました (2007年3月)
セレモニーの様子など、レポートはこちら

神戸 宇孝 (ごうど うたか GODO Utaka)
イラストレーション&デザインコース 環境イラストレーション専攻
(BA Hons) Illustration & Design Environment Illustration


プロフィール
自然環境と野生生物画に関心があり、幼い頃から描き始める。
1998年 専門学校を卒業後、環境保全活動と環境教育にかかわる仕事に従事。
2000年 9月 サンダーランド大学イラストレーション&デザインコースへ入学
2002年 9月 英国野生生物芸術家協会Bursary Award を受賞
2003年 4月 英国の野鳥雑誌Birdwatchでの野鳥生態画コンペティションで
日本人初のArtist of the Yearを受賞
2003年 7月 同コース卒業 帰国

現在は鳥類の専門月刊誌「BIRDER]の編集に携わる。面白い記事を作成するために日本中を出張で飛び回り、自らの作品制作にも意欲的に取り組んでいる。
また、森の再生活動をおこなっているイギリス出身のC.W.ニコル氏の財団サイトで野鳥のイラストを連載中
財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団
神戸さんのイラスト(ペンネーム:ヒヨ吉)

Q1. 留学準備のスケジュールを教えてください。
留学準備のために2000年1月に退職して、本格的に情報収集をしました。野生生物画のコースについての情報収集は非常に入手しづらく困難でしたが、英国自然史博物館や英国の美術協会、日本で友達になった英国人から学校を聞いて問い合わせて、学校を選びました。6月にはイギリスへ大学の下見旅行に行き、留学先として検討していた3校を訪ね、コース内容などを講師に聞いた上で一番自分に合っていると感じたサンダーランド大学への留学を決めました。

2000年8月に渡英し、学期前進学準備英語コースへ入学し9月からは学部課程のイラストレーション&デザインコースの授業が始まりました。

Q2. サンダーランド大学へ留学しようとした理由や経緯について教えてください。
小さな頃から趣味でやっていた野生生物画を本場でしっかり身につけて、それを仕事にしたいと思い、サンダーランド大学で学部課程イラストレーション&デザインコースで環境イラストレーションを専攻しました。

実際にサンダーランド大学を進学先に決めるまでに、他の大学にも下見に行きましたが、その中で一番サンダーランド大学が自分に合っていると感じました。サンダーランド大学のスタッフは、私のつたない英語での話にきちんと向き合い、時間をかけて話を聞いてくれました。先生の温かい性格に加えて、授業のスタイル、街の様子や歴史にひかれたというのも、サンダーランド大学に決めた理由でした。

Q3. サンダーランド大学で学んでみてよかったと思える点は何ですか?
日本にいたときには、「学校」というものがあまり好きでなかったのですが、サンダーランド大学に通ってその意識が変わりました。サンダーランド大学では、困ったときにいつでも相談できるチューターやスタッフがいて、精神的にとても大きな支えとなり、やりたいことに好きなだけ打ち込める環境がありました。教授スタイルとしては、与えられたことを勉強するように生徒に求めるのではなく、各自のやりたいことを尊重し、それに関して丁寧に教えてくれるというものでした。また、講師や教授のなかに、イギリス美術学校の最高峰ロイヤル・カレッジ・オブ・アーツ出身がいるなど、レベルが高かったことも、とてもよい刺激になりました。

コースには他に日本人はおらず、15人のうち12人はイギリスの学生で私を含めて3人の留学生(中国・オランダ:注:オランダの学生は個人的な理由で中退)がいました。クラスは少人数制をとっているため、行き届いたサポートを受けることができました。

授業内容は「プロを養成すること」を意識して組まれており、とても気に入っていました。日本の美術学校では「アートは趣味や娯楽」であって、プロ育成する意識(アーティストとしてどのように生計をたてていくかということにスポットを当てているということ)が低いため、学んだことを職業にするための展望を持つことが難しく、身につけた技術を役立てられないことも多くあります。サンダーランド大学のコースでは、講師陣が基本的にデザイナーとして仕事をした経験があり、実践的な知識とスキルを教えてくれるため学生に自信がつきます。自己管理力を育てるという面では、学校外の施設や研究機関に自分の使いたい施設があったときには問い合わせをするなどして、自分にとってよい創作環境を積極的につくる力を育てるきっかけにもなりました。

Q4. イラストレーション&デザインコースではどのような授業がありましたか?
カリキュラムは1学期に2〜3のプロジェクトを自分の決めたスケジュールに沿って進めるというスタイルが基本でした。プロジェクトは絵に対するリサーチや作品作成が主な内容になっています。作品の途中段階で、ディスカションや作品のプレゼンテーションをすることが多いため、自己管理下でプロジェクトを進めながらも、進行状況や作品の仕上がりを常に発表したり話し合うことで、よい刺激と指導を受けながら進めていくことができました。

学校の授業でのプレゼンテーションを企業の人たちが見にくることもありました。自分をアピールできる場を持てるとともに、企業の人からもらう作品へのコメントなどは、自分のキャリアを考えていく上でとてもよい勉強になりました。また、現役のアーティストが学校で講演することも多く、生徒は具体的にアーティストのイメージを目標としてもてるので、モチベーション維持が楽しく出来ました。

Q5. 学生時代の一日のスケジュールは?
おおよそ週に3日は、午前10時から午後3時ぐらいまで授業があり、授業後も制作活動とリサーチのために夜遅くまで学校にいました。授業のない日も同じように学校に行って、制作活動やリサーチをしていたので、結局毎日朝から晩まで勉強していたという感じでした。論文では英語力不足を補うのが大変でしたが、自分から積極的に質問に行けば講師から丁寧な指導を受けることが出来たので、特に問題にはなりませんでした。

Q6. 週末はどのように過ごされていましたか?
サンダーランドでは自分の創作活動のために美術館や博物館をめぐったり、自然保護区を歩いてなるべく資料収集をしたりしていました。ダラムなど周辺地域のミュージアムに行き、制作活動のための資料を集めにあてることもありました。時間に余裕があるときは、少し足を延ばしてマンチェスターやロンドンまで行き、ミュージアムや動物園、でアイデアスケッチをしたり、自然保護区や環境団体の観察会を訪ねた時にはビジターセンターの展示方法などやインタープリテーション方法に注目して自分の作品や表現のために勉強したりしていました。もちろん、友達と出かけることもありましたが、留学という限られた時間だったので、学びたいものへ一番時間を使っていました。

Q7. 留学中で一番うれしかったことは?
サンダーランド大学と英国野生生物芸術家協会(The Society of Wildlife Artists)から奨学金を得ることができたことは、金銭面だけでなく、長い留学生活では精神的にも良いサポートになりました。さらに、英国野生生物芸術家協会の奨学金制度には作品展示会への出品の機会もあり、大変貴重な経験をさせていただきました。日本人としても、サンダーランド大学としても初のことだったので、友人達も学校関係者の方々も自分のことのように喜んでくださり、非常に嬉しかったです。

Q8. これから留学をしようという方へのメッセージを教えてください。
日本には野生生物画を専門的に学べる学校はないので、私にとって留学はやむを得ない選択でした。そのなかでイギリスと決めたのは、日本と比較的似た生物相を持っていること、野生生物画と自然史に長い歴史を持っていること、基礎を重んじた上での多様な表現方法の芸術活動を行なっていることを知ったのが理由でした。現在は帰国してフリーランスで仕事をしていますが、授業を通して自己表現力をあげることができ、それが今、仕事を得られることにつながっていると感じています。

留学を目指す人たちには、ぜひ目的意識(なぜ海外なのか、何を学びに行くのか)をもって欲しいと思います。大きな都市で出会う若い日本人留学生のなかには、「とりあえず海外で生活してみたい」という理由で留学をしている人もいて、とても残念でした。留学をすること自体は珍しいことではありませんが、様々な条件から希望してもできない人がいることは覚えていて欲しいと思います。

また、自分の留学先についての情報収集はきちんと行ってください。滞在中に日本人留学生から時々「こんなはずではなかった」という発言を聞くことがありましたが、それは本人の準備不足であることが多く、自分で選んできた道であるにもかかわらず不満をいう姿には疑問を感じました。自分の責任で留学する心構えをしっかりと持ってください。

「日本の看板を背負っている」とまでは言いませんが、留学する一人一人の心のなかで、「自分は小さな親善大使」というの気持ちは持っていて欲しいです。「旅の恥は掻き捨て」ということはありません。他の町でしたが、日本人留学生はバイトがいい加減だったり、他の学生にひどいことをしたりするという噂を時々聞きました。こういった勝手な振る舞いが、他の留学生やそこに暮らしている日本人に思いも寄らない悪影響を与えてしまうことがあります。一人のいい加減な行動が、滞在先にいる日本人全体の印象を悪くすることも多いのです。その地で生活の基盤を設けている人たちを常に意識して留学生活を送ってください。また、生活面では安全に関する心構えができていないことが危険をまねくこともあります。留学が長くなっても安全面に関しては常に注意をしていてほしいと思います。

英語が流暢に話せるようになることも大切ですが、綺麗な日本語をきちんと知って、それを丁寧に説明できるような語学力をつけて欲しいと思います。当然と思っていた日本の文化や意識に、はっと気づく大きなチャンスだと思います。

多様な文化や価値観に触れられる留学を有意義なものにできるかどうかは、やはり留学前の本人の気持ちがとても大切だと思います。でも、留学目的が途中で変わっても良いという「余裕」もどこかに持っておいて欲しいです。そのときの自分の気持ちを正直に表現し、言葉にして伝えられることができるようになることが重要です。留学は貴重な時間だと思うので、充実した生活を送ってほしいと思います。

世界中どこでも人間という生物の根源的なものは変わりません。きちんと挨拶することやお礼を伝えることが何よりも大事であり、それを心がけていると楽しいことは向こうからやってきます。一つでも多くの笑顔に出会える皆さんの留学生活を心から祈っています。


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